輪や和や食堂 -つながりでおいしくなる-

【社協だよりいずもvol.131 令和2年12月18日発行号掲載】
不安な日々が続く中、少しでも日常に明るさを取り戻してほしい。
生活の中に楽しみがあることで「今日がいい日だった」と思ってもらいたい。
そんな思いで活動をする子ども食堂”輪や和や食堂”。立ち上げメンバーの深津さんと古家さんにお話を伺いました。
Profile
平成29年12月にスタート。月に1回、今市コミュニティセンターにて開催。
料金は子ども100円、大人200円。
子どもからお年寄りまで幅広い世代が集まり、“わやわや“しながら美味しい食事と会話を楽しんでいる。

誰もが気軽に集まれる場所を

朝食を食べない、一人で食事をすることが多いなど子どもに限らず、「孤食」の問題は深刻化しています。輪や和や食堂は、立ち上げメンバーの子どもの「食」に対する強い思いから、平成29年12月にスタートしました。

「最初は、本当にニーズがあるのだろうか、食べに来てくれる人がいるだろうかという不安がありましたが、どんな形であれやってみよう!という思いで挑戦してみました」と話すのは、立ち上げメンバーである、深津さんと古家さん。

活動の開始に向けて、小学校に話を聞きに行ったり、市外ですでに活動していた子ども食堂に見学に行ったりしながら、自分たちのイメージする「食堂」を完成させていきました。不安もある中でスタートした子ども食堂は、子どもから高齢者まで100人が訪れました。その後も月1回開催し、毎回80人ほどが訪れ、おいしい食事を楽しんでいます。「なるべく入口のハードルを低くして、多くの人に来てほしい」という想いから、予約制ではなく、年齢制限も設けないかたちをとっており、誰でも気軽に訪れることができ、地域になくてはならない場所となっています。

左から古家さん、深津さん

不安が続く中での活動再開!

そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大により、活動を中止しなくてはならない状況に。県内の感染者は少ないとはいえ、活動を再開することに抵抗を感じていたそうです。

高齢者は体操教室やサロンが中止になり、どんどん閉じこもりがちに。子ども達も学校行事やイベントなど楽しみがなくなり、この状況をみて、「食堂を再開することで発生するリスクよりも、中止し続けていることのほうがデメリットが多い。コロナ禍において食堂が楽しみの場になればという気持ちで再開を決心しました」と話す深津さん。「人数の制限を設けたり、感染予防のためのパーテーションをボランティアで作ってもらったり、いろいろな方に支えられながら再開に向けて準備をしていきました」と話す古家さん。

4か月ぶりに再開した輪や和や食堂は、いつもより参加者は少ないものの、久しぶりの開催に皆が楽しい時間を過ごす事ができたそうです。「高齢者の参加はやはり少なかったけれど、それぞれの考えで来てくれればいい。みんなの日常に少しでも明るさが戻ってくれればという気持ちで現在も活動を続けています」と2人は話します。

「楽しい」という気持ちが原動力!

「活動の始まりのきっかけは、子どもの食の貧困でしたが、今は食堂という存在が結果的に孤食、世代間交流などいろいろなことに繋がっていけばよいと思っています。」と2人は話します。実は今年、立ち上げメンバーのうちのお一人が亡くなられたそうです。「彼女が子ども食堂に対して一番強い想いを持っていた。彼女が残してくれた想いのつまったレシピを参考に、スタッフと話し合ってメニューを考えています」と深津さんは話します。

予想していなかった様々な状況を乗り越え、活動を続けていこうとする2人には、「とりあえずやってみる。どんな形でも続けていく」という強い想いがあります。

「世代交代していかなければと考えるけど、『絶対続けていこうね』という他のスタッフの力強い声を聴くたび、頑張らなくちゃと思って活動しています」と深津さん。

「忙しくて疲れることもあります。でもそれ以上に学ぶことが多く、何より楽しくて仕方がない!」と古家さん。2人をはじめとするスタッフの心から活動を楽しんでいる様子が、温かくてほっとできる食堂の雰囲気をつくりだしています。