南條 明 -おだやかなつながりが広がる場所へ-

【社協だよりいずもvol.146 令和5年6月20日発行号掲載】
任意団体「みんなのひろば」代表。
誰もが自由に使える場所としてフリースペース「居場所ひろば」を運営。

きっかけはボランティアから

学生時代は映画や映像制作に興味があり、プロデューサーやディレクターの仕事に長年携ってきた南條さん。仕事で得たパソコンの知識を活かして何か社会貢献できることはないかと探していたところ、視覚障がいのある方に向けた点字や音声を使った広報紙作成のボランティア募集があり、おもいきって始めてみることに。「音訳(文字情報を音声化すること)はパソコンでソフトを使用しながら編集をしていくので自分にはすごくぴったりでしたね。」と南條さんは話します。

その後も音訳のボランティア活動をしていく中で視覚障がい者だけでなく文字が読みにくい方などへ向けた「マルチメディアDAISY(デイシー)図書(※)」(以下、DAISY図書)という存在に出会いました。「DAISY図書は当時なじみのある方が少なく、活動を始めようと思っても実現が難しかったです。しかし、いろんなボランティア仲間と出会う中で自分が得意なデジタルと福祉をつなげてDAISY図書や音訳の活動をはじめてみよう!と決意し仲間とともに団体を立ち上げました。」と活動までの道のりを語ります。

その後、立ち上げた仲間と話し合いを重ねる中で、誰でも無料で使えるフリースペース「居場所ひろば」をスタート。今では、高齢者の体操教室や小中学生が勉強できる塾として場所を開放しながら、誰でも利用できる居場所を開き、多くの方にとって居心地のいい場所となっています。

(※)マルチメディアDAISY図書 音声と一緒に、文字や画像が表示されるデジタル図書。

一歩踏み出す勇気

ボランティアや居場所づくりなど幅広く活動をしている南條さん。活動する中で大切にしていることは「新しいことへのチャレンジ」と話します。「やってみたい!という声にはどんどん応えていきたいですね。誰もやったことのないことって目立つし、活動を知ってもらえれば応援してくれる仲間も増えていくと思います。」と語ります。

実際、「居場所ひろば」を利用する人から「やってみたいことがあって」、「困っていることがあって」と相談されることも。そんな時は、今まで自身が培ってきた経験を伝えたり、得意なインターネットを使って似たような活動や助成金の情報を集めたり、挑戦したいという思いに寄り添いながら活動を後押ししているそうです。

「新しく活動を始めようと思っても知識や情報を知らずに諦めてしまう人もいると思います。そんな時に身近な存在の一人として相談に乗りながら、みんなの一歩踏み出すきっかけを一緒に作っていけたらうれしいです。」と思いを語る南條さん。

最近は、生成AIに関心を持っているそうで、「AIに使われるのではなく、AIに的確な指示が出せるスキルを身につけられるよう若い方に向けてお手伝いをしていきたいです。」と新たな取組に挑んでいます。「ファーストペンギンみたいにまずは飛び込んでみて、新しいことや誰もやったことのないことに挑戦していきたいです。」といつでもチャレンジ精神を忘れず活動に奮闘しています。

みんなにとっての居場所に

「居場所ひろば」は、コーヒーを飲みに来る人、音訳やDAISY図書のボランティアをする人、猫と遊びたい人、南條さんと話がしたい人など様々。子どもからお年寄りまで、世代や目的を問わず居場所に訪れる利用者の姿から「誰もが気軽に過ごせるような居場所の存在の大切さ」を改めて感じているそうです。

「何かしたい人もそうでない人も、とにかくどんな方でも迎え入れ、自由に過ごせる居場所を目指していきたいですね。」と笑顔で語る南條さん。これからも地域の身近な居場所として活動を続けていきます。

「居場所ひろば」
居場所  10:00~17:00(日曜日・月曜日・火曜日を除く)
     夏からマルチメディアDAISY図書の作り方講習を始める予定です。
土曜塾  13:30~、15:30~
住所   出雲市今市町1317
ホームページ https://ibasyohiroba.com/