大野 もも香-第3の居場所で見つけた高校生のチカラ-

【社協だよりいずもvol.155 令和6年12月20日発行号掲載】
しまねJKPの中心メンバー。島根県立商業高校3年生。(令和6年12月現在)

「やってみたい!」に挑戦

 「しまねJKP」は、女子高校生(JK)にしかできないやり方で、自分たちのやってみたいことやまちづくりに挑戦するグループです。これまで、高校生の仲間と地域に飛び込み、食品ロスをテーマとした活動などを行ってきました。

 大野さんが学校の枠から一歩踏み出し、地域で活動するようになったきっかけは、高校生の“やってみたい”を応援するプロジェクト『SHIMANEみらい共創CHALLENGE』(みらチャレ)※。“自分も好きなことをすればいいんだ”とスイッチが入ったそうです。現在、みらチャレの3期生として、食を通して多世代が交流する「学生食堂」に仲間と2人で奮闘中です。(12/7開催)

 「もともと食のイベントをしたいという想いがありました。他の企画を考えていたんですが、夏休みに子ども食堂のボランティアをして、自分たちがめざす未来への近道はこれだ!と急遽企画を変更しました。その子ども食堂を主催する(一社)みらい創造公社さんに関わってもらい、出雲市社協さんには地域とのつなぎを助けてもらって、わたしたちの想いに寄り添ってくれる大人の方に恵まれて、すすめることができています」と大野さん。

 しかし、学生食堂にたどり着くまでには紆余曲折が。大野さんは昔からおじいちゃんおばあちゃんが大好きで、作ってもらう家庭料理におなかも心も満たしてもらったそうです。そこに“高齢者の力”を感じ、食フェスや料理レシピづくりなどの企画を考案。そして、地域の食のボランティアの方にアドバイスをもらうなかで、高齢者の孤食の課題を知り、「高校生としてできることは?」とシフトチェンジ。アイディアを求めて参加した子ども食堂のボランティアで、地域がひとつになれる「食」の可能性に気付き、学生食堂の企画へ。「やりたいことが頭の中にあふれていて、現実味がないものもたくさんありました。関わっていただいた大人のみなさんも頭を抱えたと思います。(笑)でも、“なんとかなる!”という高校生らしいゆるさと純粋なやる気でなんとかここまで来れました。開催が待ち遠しいです!」と、目を輝かせます。

高校生は魔法の時間

 高校生として過ごす時間について「家と学校を行き来するだけの毎日に考えるところがありました。高校生って、魔法の時間だと思うんです。今のわたしたちの時期は色んなことを考えて、おもしろいアイディアが生まれる時期だと感じます。大人になると現実性を持ちすぎるし、中学生だと現実離れしてしまうけど、高校生はそのいいとこ取りというか。みんな考えを生む力を持ってるけど、それを提案したり実際やってみたりする機会はなかなかないし、家と学校の行き来だけだと自分の力に気付けないと思います。わたしは、こうして第3の居場所があることで自分の力に気付けました」と話します。

 また、しまねJKPでの活動を通して自分自身に変化があった大野さん。「行動に移すか移さないかで自分も未来も変わると思います。自分自身もやってみたいことに挑戦して、“わたし変わったな”と実感しています。まずは“失敗してもいいや”というマインドになったこと。失敗した経験も今なら“こんなこともある、色んな人がいる”と広い視野で考えられるようになりました。あと、正直、大人や学校が苦手だったけど、それがなくなりました。もともと学校が合わないなと感じていて、でも、世の中的には学校に行くことが正しい風潮で…行きづらい子が苦しい環境になってると思います。こうして自分の3つ目の居場所ができて、離れてみて気付く良さがあるんだなって。なにかひっかかることがあっても、別の逃げ道があることで納得できる自分になれました」と自分の世界が広がることに喜びを感じたそうです。

みんなに伝えたい高校生のチカラ

これまでにたくさんの活動者の方と出会い、自分らしさ全開で地域へ飛び込む姿に刺激を受けた大野さん。「今のわたしの自分らしさって、女子高生であること。ひとりより“みんな”で、それから楽しくっていうのが女子高生らしいなって思うので、こうしてグループで活動しています。学校以外の世界で、たくさんの人と出会いながら、やりたいことを叶えていくことに毎日わくわくしています!」と話します。

 「自分らしさや、まだ気付いていない自分の力を狭い世界にとどめておくのは本当にもったいない。家でも学校でもない自分の居場所って、自分が一歩踏み出せば実はたくさんあります。そこに一人ひとりの力を見つけるチャンスがあるんだよって活動を通して伝えていきたいです!」とあふれるパワーで想いを語ります。

 高校生であること自体に力があると気付き、その可能性を信じて地域に飛び込む大野さん。第3の居場所で自分の本来の力を発揮し、JKのアイディアが出雲を笑顔にする、これからの活躍も楽しみです!

※SHIMANEみらい共創CHALLENGE:TSKグループ基金さんいん未来縁人と地域・教育魅力化プラットフォームが主催。一人ひとりの“やってみたい”を、半年間かけて実現していくプロジェクト。参加者には、活動支援金が支給され、第一線で活躍する経営者・社会人・大学生からアドバイスをもらいながら進める。

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