しんぐるまざあず・ふぉーらむ出雲

【社協だよりいずもvol.132 令和3年2月19日発行号掲載

しんぐるまざあず・ふぉーらむ出雲は、ひとりで子育てを頑張る親の居場所として、平成22年に発足しました。発足当初の活動はシングルマザー同士の交流がメインでしたが、だんだん参加者や会員が増え、平成26年からほぼ月に1回、交流会や相談会、セミナーなど様々なイベントを開催しています。

代表を務める比良さんは、助産師(比良助産院)として働く中で感じた非婚出産者の「同じ境遇の人、同じ想いを抱える人に会いたい」というニーズをきっかけにこの活動を開始しました。

比良さん自身が母子家庭で育ったという経験があり、「自分はたくさんの人に支えられながら勉強し、資格を取ることができました。この自分の経験や、助産師として働く中で出会った一人で頑張っているお母さんたちの言葉を聞き、彼女たちの心が休まる場、助けを求めることの大切さを伝えたいという思いで活動しています」と話します。

左から 比良さん、久野さん

比良さんと共に相談員として活動を行う久野さんは、比良さんが開催したセミナーへの参加をきっかけに、平成26年からこの活動に携わっています。久野さん自身も一人で子育てをする母親であり、以前、おもちゃ図書館(現在は活動終了)の存在に救われた経験が今の活動につながっているそうです。「おもちゃ図書館に行けば思い切り子どもを遊ばせてやれるし、そこが自分の居場所のように感じることができて、とてもありがたかった。同じ想いを持つ仲間にもほっとできるひと時を過ごしてもらいたい、自分を救ってくれた親族と地域に恩返しがしたい、と感じたことが今の活動につながっています」と話します。

「しんぐるまざあず・ふぉーらむ出雲は、参加は自由です。ふらっと来ることができ、親と子どもたちが自分らしく楽しく過ごせるサードプレイスになればと考えています」と比良さん。

「困難のとき支援を受けたいと声に出すことを躊躇するお母さんはたくさんいます。そんな時は自分の経験を話したり、相談しても良いんだよと背中を押してあげるようにしています」と久野さん。

お互いの経験から、比良さんは子どもの立場から、久野さんは母親の立場からサポートし、苦しいことも楽しいことも共有できるみんなが仲間や家族のように過ごすことのできる場所となっています。

今までの活動について比良さんは、「本当に地域の皆さんの支えがあるからこれまで続けられています。ご寄附や温かいお言葉に対する感謝の気持ちを何とかして伝えたいと思って日々活動をしています」と話します。その気持ちを伝えるために、地元の企業や飲食店を応援するため地元の食品を使用してイベントを開催したり、子どもたちから支援者へお礼の手紙を送ったりしているそうです。

「お母さんはもちろんですが、子どもたちにも応援してくれる人がたくさんいることを知ってもらいたい。何より島根を好きになってもらいたいです。そしてここで過ごす時間が前を向く活力になればと思います」と笑顔で語る2人。

比良さん、久野さんの島根で暮らすシングルマザーと子どもたちへの温かい気持ち、そして支えてくれる地域の方への感謝の気持ちが様々なかたちのつながりを生んでいます。